織田病院からのお知らせ

第32回ゆうあい公開セミナーの質問に対する回答

2024/06/01
お知らせ

2月22日に第32回ゆうあい公開セミナーを開催しました。地域嚥下サポート勉強会「多職種から学ぶ摂食・嚥下サポート」をテーマに多数の方に参加していただき、ありがとうございました。
アンケートに記載された質問に対する解答を掲載します。是非ご参考ください。

1)食道アカラシアでバルーン拡張術をされている95才女性です。ミキサー食をサラサラ状態の食事(固形物×)を提供していますが、食前食後の吐き戻しが目立ちます。それは、どのような事が考えられるのでしょうか?嚥下機能の低下?体が食事を受け付けなくなったから?教えてください。

A:アカラシアの症状として矛盾しません。再狭窄してきている可能性があり、胃カメラ等で評価することもご検討ください。食前の吐き戻しに関しては、誤嚥している可能性もありますが、アカラシアによって前回の食事が食道内に貯留している可能性もあります。一度嚥下機能評価を行ってみて、大きな問題がなければ胃カメラをしてみることをお勧めします。年齢的に難しい場合は透視検査(バリウム)でも評価は可能と思われます。

 

2)嚥下機能低下で絶食に至った患者さん。会話や意思疎通ができる方なのに、何とかして経口摂取、生活の質の為にもどう取り組めばよいのか教えてください。

A:まずは嚥下機能評価を行うことをお勧めします。食事形態を工夫したり、機能回復のためのリハビリを行っていくことで経口摂取可能となる可能性があります。

 

3)義歯専用ブラシは触った感じが硬いが、市販のやわらかめのブラシでも義歯洗浄可能ですか?

A:入れ歯のヌメリを取るためには、入れ歯用の硬い歯ブラシがいいですが、やわらかめでもどちらでも可能です。しかし、市販の硬いブラシで力を入れて磨くと入れ歯に傷が付いてしまうことも考えられます。傷がつくと細菌が繁殖したり、その影響で歯周病につながる恐れもあり、やわらかい歯ブラシで優しく丁寧に磨くのがよいと思われます。

 

4)胃瘻や腸瘻等の方で口腔乾燥が酷い方がいらっしゃいます。良い方法はありますか?

A:食事をしていない方の方が、口腔内が汚れやすく乾燥しやすい傾向にあります。うがいを多めに行っていただく、あるいは口腔ケア後にアズノール軟膏や市販の保湿ジェルを塗るなどの対応をお勧めします。

 

5)経口からの食事摂取は困難だというご利用者様ですが、少しずつ経口から摂取できています。今後、どういう風に食事摂取をすすめていったら良いか(タイミングや量など)?又は、すすめて良いのか考えています。教えて頂きたいです。

A:もう一度、嚥下機能評価を行うことをお勧めします。その結果次第では、経口摂取可能となるかもしれません。参考までに当院では、訓練食のお茶とろみから開始し、2日後に痰や発熱などの症状がなければ、糖分が入っているジュレを開始します。摂取後、2日後に問題がなければ粥のペースト食1品から開始し、上記の期間ごとに品数を増やしていきます。

 

6)意思疎通困難な長期臥床している方(認知症・身体合併)への口腔ケア方法を教えてください。

A:口腔内が乾燥している場合は、先に保湿剤を塗布しケアを行います。残存歯があれば、ブラッシングまで行います。拒否が強い場合は2人介助で行うこともあります。無理をすると口腔内を傷つけることもあるため、可能な範囲でケアを行ってください。噛み込みが強い場合はバイトブロックの使用をお勧めしますが、動揺歯がある場合は誤って折れてしまうこともあるため、使用には注意が必要です。また、意思疎通困難であっても、必ず声掛けをするように心がけてください。長期臥床している方でも、可能な限りギャッジアップして座位に近づけて実施することが重要です。

 

7)認知症介護での援助、どこまで援助するべきか?残された機能を維持するには?

A:口腔ケアを行い、口腔内を清潔に保つことは認知症の進行を遅らせることにもつながります。洗面台まで行けない患者さんでも、ガーグルベースを準備して自分で行ってもらうように促してみてください。食事を認識できていない場合は、口腔内の溜め込みや嚥下反射が起きないことがあるため、窒息や誤嚥の可能性が高まります。食事の摂取量が入らなくなってきた場合は、家族との相談を行い、今後の栄養確保方法(胃瘻や点滴、楽しみレベルなのか)などについて話し合いをしています。

 

8)食事の時、よく目を閉じて食べない方がいます。起きられている時に口の中に食べ物が入っていても飲み込みません。どうしたらよいか?

A:意欲の低下は回復が難しい部分ですが、目を開けるよう声掛けし、口の中に食べ物が入っていることを伝えるようにしてみてください。それでも覚醒が悪いのであれば、冷たい物など刺激になる物を交互に食べてみるのもよいかもしれません。においの強いもので刺激をしたり、触感を変えてみるのもいいかもしれません。